2010年7月28日

ご高見(ごこうけん)、どだい、英語難民(えいごなんみん)、戦々恐々(せんせんきょうきょう)、マニフェスト(まにふぇすと)、マスト(ますと)、血道をあげて(ちみちをあげて)

田中:
先輩のご高見によれば、楽天の本社は
別にしても、東京支社、上海支社は、
「英語一色」ということにはなりそうも
ないですね。

小林:
そうだよ。
本社が「英語一色」というのは、あり得る
だろうが、日本語や中国語のマーケットと
向き合う支社が、「英語一色」というのは、
どだい無理っていうもんだよ。
顧客が寄り付かなくなるばかりか、マーケ
ットからの情報も入って来なくなってしまう
からな。

田中:
だったら、日本支社に勤務する「英語難民
は、戦々恐々としていなくても大丈夫なんで
すね。

小林:
大丈夫さ。
君の何とかいう友人に胸を張って伝えても
らってもいいよ。
絶対、日本支社の公用語は「日本語」に
落ち着くから。

田中:
でも、それでは、社長は、恰好悪いですね。
マニフェスト」を取り消さなくてはならない
んですからね。

小林:
いやいや、社長は、こうおっしゃっている
じゃないか。
「これからは、英語の出来ない役員はクビ
だ」と。
この一言が効いて来るさ。
「将来は、本社の役員になる人間には、
 英語はマストだ」と言っている訳だからな。
君の友人も、将来「楽天の本社の役員」に
なりたいのであれば、「英語」を血道をあげ
やらなきゃな。

2010年7月22日

楽観的(らっかんてき)、すぐれて、野心的(やしんてき)、取引停止(とりひきていし)、泣き寝入り(なきねいり)、楯突く(たてつく)、憂き目にあう(うきめにあう)

田中:
楽天の社長の考え方は、楽天的じゃない、
楽観的に過ぎるということでしょうか?

小林:
まあ、そうも言えるし、すぐれて野心的
であるとも言えるな。
何しろ、本社の英語の公用語化を図る
前に、いきなり、各支社の英語の公用
語化を推し進めようというのだからな。

田中:
支社の場合、やはり、マーケットの公
用語に合わさないといけないのでしょ
うか?

小林:
おれが楽天の顧客だとして、「英語の
レター」を受け取ったり、「英語の会議」
をやるなどと言われたら、即、取引停止
だな。
とんでもない話だよ。

田中:
でも、先輩、おっしゃっていませんでした?
確か、「カタカナレター」を日本の顧客企業
に出していたって?

小林:
そうなんだ。
俺が昔お世話になった会社で、そういうこと
をやっていたんだよ。

田中:
結果は?

小林:
相手の泣き寝入りさ。
何しろ、大企業に楯突く訳には行かないか
らな。
取引停止の憂き目にあうからな。

田中:
横暴ですね、その企業は。
でも、そうなると、楽天も、その位マーケット
で横暴になれれば、社外に対しても、英語の
公用語化を強要できるということになりますね。

小林:
そうだよ。
だが、なれるかな?

2010年7月20日

珍説(ちんせつ)、奇説(きせつ)、価値観(かちかん)、濡れ手で粟(ぬれてであわ)、社内認可(しゃないにんか)

田中:
インターネットが世界を分断した、とは、珍説奇説
ですね。

小林:
「常識」を疑うところから、新しい「価値観」が生まれ
るだよ。
そんなの、「常識」だぜよ。

田中:
で、日本のインターネットのマーケットの公用語が
「日本語」であることは認めるとして、社内公用語
を英語にすると何か不便ですか?

小林:
あたぼーよ。
例えば、楽天の日本支社で「濡れ手で粟の極楽
買い物サイト」というプロジェクトの社内認可を申請
するとする。
これを、英語でやらなければならないとすると、どう
なる?
まずは、“A project for ・・・・・・・・・・・”という英語
のプロジェクト名で申請しなくちゃいけないんだぜ。
そして、社内認可が下りた後、日本語に訳すんだ
ぜ。
そんなの、うまく行くかい?

田中:
なるほど。
「英語人」達の中には、「変なプロジェクト名」だと
拒否反応を示す人もいるかも知れませんね。

小林:
ビジネスは、そんなに甘くないぜ。
客は、我先に逃げ出すよ、きっと。

2010年7月18日

私としたことが(わたしとしたことが)、言われてみればそうですね(いわれてみればそうですね)、言われなくてもわかりそうなものだがな(いわれなくてもわかりそうなものだがな)、英語オンリー(えいごおんりー)、分断する(ぶんだんする)

田中:
先輩、「マーケットの公用語」って言われまし
たが、インターネットの世界では、全て英語で
しょ、日本でも、アメリカでも、中国でも?

小林:
なるほど。
君は、インターネットは、全て「英語」って訳か。

田中:
とんでもないですよ。
全て「日本語」ですよ。

小林:
だろう?
だったら、日本のマーケットの公用語は、「日本
語」だろうが?

田中:
あっ、そうか。
私としたことが・・・。
言われてみれば、そうですね。

小林:
言われなくても、分かりそうなものだがな。
君だけじゃないから、心配いらないよ。
多くの人が、同じような偏見を抱いているよ。
いいかい、インターネットが広く普及したのは、
英語オンリー」じゃなく、各国語で楽しめる
からだよ。
インターネットは、世界を一つに結び付けた
のではなく、世界を分断したんだぜよ。

田中:
????????

2010年7月15日

無国籍企業(むこくせききぎょう)、社内公用語(しゃないこうようご)、身振り手振り(みぶりてぶり)、かゆいところに手が届く(かゆいところにてがとどく)、いいことづくめ、問題点(もんだいてん)

田中:
先輩、「無国籍企業」は、「社内公用語」が統一されて
いるので、社内のコミュニケーションは、抜群にいいで
しょうねえ?

小林:
そりゃー、当然だよ。
トイレが汚れていたら、清掃のおばさんに「Hey,please
clean ・・・」と英語で言えば通じるのだから、変な身振
り手振りなんか必要なくなるよ。

田中:
たしかに、かゆい所に手が届く、っていう感じですね。

小林:
だが、いいことづくめかと言えば、そうでもないんだよ。

田中:
どんな問題がありますか?

小林:
次の表を見て、何か、問題点に思い当たらないかい?

              無国籍企業     多国籍企業

  東京本社       英語          英語
  東京支社       英語          日本語
  上海支社       英語          中国語
  ニューヨーク支社   英語          英語

田中:
そうですね、やはり、人材が集めにくいのではないかと
思います。
特に、東京支社と上海支社は。

小林:
違うな。
最大の問題は、「マーケットの公用語」と「社内公用語」
が乖離しているってことなんだよ。

2010年7月11日

社内公用語(しゃないこうようご)、大見えを切る(おおみえをきる)、無国籍企業(むこくせききぎょう)、夢のまた夢(ゆめのまたゆめ)、引き合いに出す(ひきあいにだす)、あながち、夢物語(ゆめものがたり)、勢い(いきおい)、取らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)、まっしぐら

田中:
先輩、どうされました?
なんだか不機嫌ですね。

小林:
さっきテレビを見ていたら、「楽天」は「英語社内公用語
化」にあたり、TOEIC750点を基準として設けるらしい。
この程度のレベルの話だったら、何も記者会見までして
大見えを切る必要なんかないよ。
無国籍企業」など、夢のまた夢だよ。
望みが低過ぎるよ。

田中:
先輩、そんなものですよ。

小林:
以後、「楽天」を引き合いに出すのは、止めよう。

田中:
でも、日本人社員はダメでも、英語を使いこなす
外国人社員が大勢入社して来れば、あながち
夢物語とも言えないのではないでしょうか?

小林:
そうか、こんな感じか。
  本社:東京       非日本人90%、日本人10%
  支社:東京       非日本人85%、日本人15%
      ニューヨーク  非日本人98%、日本人 2%
      上海       非日本人99%、日本人 1%

田中:
何だか、勢い「日本人社員駆逐大作戦」のような様相を
呈して来ますね。

小林:
取らぬ狸の皮算用、非日本人の優秀分子が来てくれる
かな?
いずれにせよ、少し見えて来たような気がするな、社長の
狙いが。
やはり、「無国籍企業」に向かってまっしぐら、ってとこだ
な。

無国籍企業(むこくせききぎょう)、多国籍企業(たこくせききぎょう)、社内公用語(しゃないこうようご)、蛇蝎のごとく嫌われる(だかつのごとくきらわれる)、桎梏(しっこく)

田中:
無国籍企業」と、「多国籍企業」の違いは、
支社における「社内公用語」の違いと理解
してよろしいでしょうか?

小林:
いや、それだけではないよ。
無国籍企業」とは、「世界のどこにでも瞬時
に本社を移すことが出来ると企業」と定義で
きるな。
うちのおじいちゃんの企業を例にとれば、
おじいちゃん(名古屋)、おじいちゃんの兄さん
(コペンハーゲン)、おじいちゃんの弟(ウラジ
オストック)の誰もが、いつでも、本社トップに
なることが出来るんだよ。

田中:
つまり、日本政府、デンマーク政府、ロシア政府
がこけても、常に企業は生き延びられるという訳
ですね。

小林:
その通り。

田中:
となると、企業が、簡単に政府を見捨てることに
なり、各国政府から、蛇蝎のごとく嫌われること
になりませんか?

小林:
もちろんだよ。
そんなの常識だぜ。
企業は、常に、政府の課す様々な桎梏から逃れ
ようと必死なんだよ。

田中:
????????

2010年7月8日

多国籍企業(たこくせききぎょう)、無国籍企業(むこくせききぎょう)、市民権を得ていない(しみんけんをえていない)、後は推して知るべし(あとはおしてしるべし)、コンサル会社(こんさるかいしゃ)

田中:
仮に「楽天」が10年後にこんな姿になっていたと
すると、この会社は、「多国籍企業」に分類される
べきでしょうか、或いは、「無国籍企業」に分類さ
れるべきでしょうか?

  本社:東京
  支社:東京
      上海
      ニューヨーク

小林:
これだけでは、なんとも言えないな。

田中:
では、
  本社:東京     (社内公用語)英語
  支社:東京     (社内公用語)日本語
      上海      (社内公用語)中国語
      ニューヨーク (社内公用語)英語
では?

小林:
多国籍企業」と言えるな。

田中:
では、では、小林先輩が創られたまだ市民権を
得ていない無国籍企業」とは、どういうもので
すか?

小林:
それこそ、三木谷浩史社長が目指しているも
のさ。
こうなるんだよ。

  本社:東京       (社内公用語)英語
  支社:東京       (社内公用語)英語
      上海       (社内公用語)英語
      ニューヨーク  (社内公用語)英語

この会社では、食堂に働くコックさんも、清掃の
おばさんも、皆、「英語」しか話しちゃいけない
んだよ。
後は推して知るべしだよ。

田中:
こんな企業ありますか?

小林:
あるさ。
うちのおじいちゃんが経営するコンサル会社
は、全て「名古屋弁」を社内公用語としている
よ。

田中:
その会社に、支社は、あるのですか?

小林:
あるよ。
名古屋とコペンハーゲンとウラジオストックに。
だから、立派な「無国籍企業」さ。

2010年7月4日

社内公用語(しゃないこうようご)、苦々しく思う(にがにがしくおもう)、枝葉末節(しようまっせつ)、絵に描いた餅(えにかいたもち)、机上の空論(きじょうのくうろん)、多国籍企業(たこくせききぎょう)、無国籍企業(むこくせききぎょう)

田中:
最近、「楽天」や「ユニクロ」のように、日本企業
の中に「英語を社内公用語化」する会社が増え
て来ていますが、どう思われます?
先輩のことだから、苦々しく思っていらっしゃる
でしょう?

小林:
別に。

田中:
大部分の英語の出来ない日本人が切り捨てら
れてしまうことを意味しませんか?

小林:
なるほど、君はそういう風に、この問題を捉えて
いるのか?
浅はかだな。
そんなのは枝葉末節もいいところだぜよ。
問題の本質は、そんなところには無いよ。

田中:
そうでしょうか?
英語を話せない社員は、次々に転職して
行ってしまいませんか?
そして、それに代わる社員の補充がきき
ますかね?
どこに、英語を自由に「話したり」「書いた
り」出来る日本人がいますか?
絵に描いた餅」、「机上の空論」に
終わるんじゃありませんか?

小林:
確かに、「人材確保」の面の難しさはあるが、
それを上回る、もっと、大きな問題が潜んで
いると、俺は見るな。
それは、「多国籍企業」か「無国籍企業
かの問題と言い替えることが出来るな。

田中:
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