2010年1月26日

改めて考えさせられる(あらためてかんがえさせられる)、持ち前(もちまえ)、条件反射的(じょうけんはんしゃてき)、常日頃(つねひごろ)、化身(けしん)、そんじょそこらの、一張羅(いっちょうら)、御年(おんとし)、天女(てんにょ)

田中:
先輩、2.の勇気ですが、どういうことなので
しょうか?

小林:
ああ、「勇気」ということについて、改めて考え
させられたってことだよ。
彼女の持ち前の勇気に感銘を受けたってこ
とだよ。

田中:
持ち前ね?

小林:
そうなんだ。彼女の今回の行動は、まさに、
条件反射的だったと思うんだ。
常日頃から、自然に「心」と「体」が反応する
ようになっていないと、こういう素早い行動は
取れなかったと思うんだ。
「心」に一瞬の迷いもなく、「体」もごく自然に
動いたんだよ。
こういうのを、本当の「勇気」というのではない
かと思ったんだ。

田中:
なるほど。

小林:
もしかしたら、彼女は、菩薩様の化身だった
かも知れないな。
そんじょそこらには、こういった資質というか、
習慣を備えた人は、いないだろう。

田中:
で、住所や名前をお聞きになったのですか?

小林:
それが、一陣の涼風が駆け抜けるか如く、さっと
姿を消されてしまったんだよ。

田中:
テレビの「力」で、探してもらいましょうか、その
人、いや、菩薩様を。

小林:
そうだな。
1970年代後半と言うのは記憶間違いで、
「1985年の6月のある日、朝7時半頃、
 下総中山駅のホームで、一張羅のスーツ
 を着て颯爽と歩いている青年サラリーマン
 を窮地から救ってくれた人は、誰ですか?」
ってな。
見つかるかな?
御年、65歳位になっていらっしゃるはずだが。

田中:
どういうご家庭に育ったんでしょうか、どういう
ご家庭をお持ちだったんでしょうかね、その
天女様?

小林:
天女????

2010年1月22日

亭主関白(ていしゅかんぱく)、のたまわれる、腑に落ちない(ふにおちない)、片鱗もない(へんりんもない)、アクシデント、ハップ二ング、ローマは一日にしてならず、一朝一夕、大きく出る(おおきくでる)

田中:
先輩の奥様が、「亭主関白か、自由か?」と
のたまわれたのは、腑に落ちませんね。

小林:
さすが、タ~さん、その通りだよ。
もともと、亭主関白片鱗もなければ、
自由なんかこれっっぽちもありゃーしない
よ。

田中:
ところで、次の質問ですが、先輩は、この
アクシデントに対して、どういうご感想を
お持ちですか?

小林:
アクシデント??
ハップ二ングじゃないのか?

田中:
どちらでも、いいですが、ご感想は?

小林:
そうだな、主に次の三つというところかな。
1.土壌
2.勇気
3.後悔

田中:
短過ぎます。
補足をお願いしますよ。

小林:
まず、1.だが、こういう女性を生み出した土壌、
風土というものに思いが及んだんだよ。
ローマは一日にしてならず」、一朝一夕には、
こういう女性は生み出されないはずだ。
まず、数千年は、かかるな。
つまり、紫式部の時代から、徐々に育まれて来
たものなんだよ。

田中:
数千年?
これは、また、大きく出ましたね。

2010年1月17日

報告する(ほうこくする)、命令する(めいれいする)、目に見えている(めにみえている)、後学のために(こうがくのために)、やりたい放題(やりたいほうだい)、亭主関白(ていしゅかんぱく)、藪蛇(やぶへび)、以外のなにものでもない(いがいのなにものでもない)

田中:
先輩、次の質問ですが、この事件を
奥様に報告されましたか?

小林:
奥方は、上司ではないので、報告は
しないよ。
話題にしたかどうかだろう?

田中:
そうです、そうです。

小林:
とんでもないよ。命令されたって、
絶対、話さないよ。

田中:
「実は、今朝、こんな衝撃的な事件
があったんだよ。・・・・・」って、話し
ません?

小林:
相手がどう出て来るかが、目に見えて
いるからだよ。

田中:
そこを後学のために、聞かせてくださ
いよ。

小林:
きっと、こうなるよ。

「こういう女性が、この世に存在するなん
 て信じられなかったよ。」

「な~るほど、やっぱり、そういうタイプの
 女性にあこがれているんですね。
 どうせ、私は、夫に尽くすタイプじゃない
 から。
 大体、なんで、そういう女性を選ばなか
 ったのよ?
 そういう女性は、夫の首に縄をくくりつけ
 てしっかりと管理し、私のように、やりた
 い放題にはさせてくれないわよ。
 どっちを選ぶ、亭主関白、それとも自由?
 いずれにせよ、私は、変わりませんからね。
 私の同級生は、皆、私と同じ考えなのよ。
 大体、その女は、何てことをしてくれるの。
 でしゃばり女め。
 口の使い方を知らないわね。
 口は、ものを言うためにあるのよ。
 ・・・・・」

田中:
なるほど、なるほど。
確かに藪蛇以外のなにものでもないですね。

2010年1月15日

自力更生(じりきこうせい)、蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)、けちをつける、風通しがいい(かぜとおしがいい)

田中:
先輩、次の疑問点は、何故、前の日の
夜、奥様が「縫い糸」に気が付かなかっ
たのかということですが?

小林:
あー、それは、スーツは、自分で買った
からだよ。

田中:
エッ、先輩のところ、スーツは、ご自分で
買われるのですか?

小林:
もちろん、自力更生だよ。

田中:
では、ネクタイは?

小林:
ネクタイ、パンツ、靴下、・・・全て、自分で
購入し、自分で繕うんだよ。

田中:
味気ないですね。

小林:
いやー、蓼食う虫も好き好きだろう。
自分の気に入ったものが買える上に、
相手からけちをつけられなくていいん
だよ。
もちろん、誰もほめてはくれないがね。

田中:
何だか、お宅は、風通しがいいのか
悪いのか、分かりませんね。

小林:
お互い、寝室に鍵を掛けているから、
どちらかと言うと、空気は淀んでいる
んじゃないかな?

田中:
???????????

2010年1月13日

専業主婦(せんぎょうしゅふ)、出社する(しゅっしゃする)、フェミニスト、けんもほろろ、原因と結果を取り違える(げんいんとけっかをとりちがえる)、高給取り(こうきゅうとり)、八面六臂(はちめんろっぴ)、仕事に身が入らない(しごとにみがはいらない)、口は災いの元(くちはわざわいのもと)

田中:
先輩、最初の質問は、先輩の奥様が、
この「縫い糸」に全く気が付かれなかっ
たのは、何故でしょうか?
毎朝、「行ってらっしゃい」って玄関で
見送りをしてくれているはずですよね?

小林:
それが、我が家では、違うんだな。

田中:
エッ、なんだか、日本の家庭らしくない
ですね。
先輩のところ、専業主婦でしょう?
だったら、朝食の準備は、奥様でしょう?

小林:
いや、それが、家内は、AB型なんで、
睡眠が足りないと一日中つらいらしい
んで、朝食は、自分で用意するんだよ。
スープや味噌汁を音を立てずに静かに
呑んで、コソ泥のように忍び足で玄関
のドアをそっと開けて出社するんだよ。

田中:
そうなんですか?
見かけによらず、フェミニストなんです
ね、先輩は。
では、「お出かけのキッス」もないんです
か?

小林:
そうなんだ、ドイツの調査によると「お出
かけのキッス」をする夫婦は、平均収入が
高いということを聞いて、要求してみたん
だけれど、けんもほろろでね。

田中:
先輩、それは、原因と結果を取り違えて
いますよ。
高給取りだからこそ、奥さまが、毎朝、愛情
のこもったキスをしてくれるんですよ。

小林:
いや、そうとばかりも言えまい。
毎朝、気持ちよく送り出してもらえればこそ、
会社で八面六臂の働きをして、給料もぐんぐん
上がるんだよ。

田中:
なるほど、なるほど。
それで、先輩は、仕事に身が入らないって
訳なんですね。

小林:
お前、口は災いの元だぞ!

2010年1月6日

状況が飲み込める(じょうきょうがのみこめる)、見ず知らずの(みずしらずの)、にわかには信じられない(にはかにはしんじられない)、所要時間(しょようじかん)、気が動転する(きがどうてんする)、公衆の面前(こうしゅうのめんぜん)、クリアにしておきたい

小林:
最後のキーワードは、「糸切り歯」だよ。

田中:
まさか!!!!?????

小林:
やっと、状況が飲み込めたようだな?

田中:
先輩、にわかには信じられませんよ。
駅のホームで後ろから来た見ず知らずの
女性が、ぱっとしゃがむなり、スーツの
タスキ掛けの縫い糸を、糸切り歯で噛み
切ったっていうんですか?

小林:
そうなんだ。
それも、所要時間、たったの4秒。
すごい早業だったんだ。

田中:
で、歯でかみ切った糸を、手でかざして、
「これが付いていましたよ」って言ったん
ですか?

小林:
いや、それが、俺も、気が動転していて、
よく覚えていないんだよ。
多分、その戦利品を、かざしただけで、
無言だったと思うな。

田中:
だとすると、その縫い糸は、どこに行った
んですか?

小林:
それも、定かではないんだけれど、多分、
彼女が自分のバッグにしまってくれたと思
うな。

田中:
公衆の面前ででしょう?

小林:
もちろん。
それどころか、総武線の電車は、混雑の
極みで、電車に乗っている人で、ホームを
見ていた人も多かったはずだよ。
ただし、あっという間の出来事だったん
だけどね。

さあ、これなら、「ひつまぶし」でも、
「ビフテキ」でも、おごる気になっただろう?

田中:
なりましたよ、なりましたよ!!!
でも、食事の前に、何点かクリアにしておき
たいことがあります。

2010年1月4日

颯爽と(さっそうと)、知らぬが仏(しらぬがほとけ)、ところがどっこい、さにあらず、察しの良さ(さっしのよさ)、右に出る者がいない(みぎにでるものがいない)、大和撫子(やまとなでしこ)、やおら

小林:
まず、俺が、ホームの中ほどを颯爽と歩いている。

田中:
私が、目の前を歩いている若いサラリーマンの後ろ
姿を認める。
(あッ、この人、スーツ、卸したてなんだ。
 縫い糸がかかったままだ。
 気がついていない。
 知らぬが仏、ウッシッシー!
 いや、かわいそうだ、
 教えてあげよう。)

あの、ちょっと、ここが・・・・。

小林:
おい、しゃがめ!
そして、おれの尻にくっつけよ!

田中:
エーッ、それは・・・。
肩をたたいて、それから、指で、スーツの
切れ込みを指させばそれで十分でしょうが?
意味のない、無駄な動きというものですよ。

小林:
だろう?
君もそう思うだろう?
ところがどっこいさにあらず
さすがの察しの良さにおいては右に出る者
がいないといつも豪語している君でも、実際
に何が起きたか推測がつかないという訳だ。

田中:
あッ、分かりましたよ。
その大和撫子が、バッグから、やおらハサミ
を取り出して、「プッツン」と縫い糸を切ってくれ
たんでしょう?
女性で、裁縫道具を携帯している人は多いで
すからね。
いや、その方は、縫製関係のお仕事をされて
いたのかも知れませんね。

小林:
頭がうまく回転し始めたようだね。
あともう一歩だよ。

田中:
????

2010年1月2日

佳境に入る(かきょうにはいる)、大和撫子(やまとなでしこ)、お世辞にも(おせじにも)、中らずとも遠からず(あたらずともとおからず)

小林:
本当、分かるの?

田中:
分かりますよ。
先輩が卸したてのスーツを着て駅の
ホームを歩いていたんですよね。
そのスーツの後ろの切れ込みに
タスキ掛けに縫い糸が掛けられて
いたのに、先輩は、それに全く気付か
ず、「このスーツはもう100日も着てい
るぞ」ってな感じで歩いていたんです
よね?

小林:
うんうん、それから?
いよいよ、佳境に入って来たな。

田中:
後ろを歩いていた妙齢の婦人がそれに
気がついて、「あのう、ちょっと、失礼で
すが・・・」って声をかけて来たんでしょう?

小林:
まず、妙齢の婦人というより、「大和撫子
と言って欲しいな。
それから、声をかけるのに、「しゃがむ」必要
があるか?

田中:
そうですね?
変ですね?
あー、その女性、身長が・・・。

小林:
違う、違う。
俺も、見ての通り、お世辞にも背が高いと
は言えないしなあ。

田中:
では、指で、問題個所を「つついた」んでしょう?

小林:
「お兄さん、ここが未処理ですよ。むだ糸は、
ちゃんと処理しましょうよ」ってか?

田中:
そうです。
もう少し丁寧に、「あのう、失礼ですが、ここの
ところ、まだ抜糸できていませんよ」とか言った
のかも知れませんね。

小林:
中らずとも遠からず、ってとこかな?
よし、二人で、再現してみようや。