小林:
本当、分かるの?
田中:
分かりますよ。
先輩が卸したてのスーツを着て駅の
ホームを歩いていたんですよね。
そのスーツの後ろの切れ込みに
タスキ掛けに縫い糸が掛けられて
いたのに、先輩は、それに全く気付か
ず、「このスーツはもう100日も着てい
るぞ」ってな感じで歩いていたんです
よね?
小林:
うんうん、それから?
いよいよ、佳境に入って来たな。
田中:
後ろを歩いていた妙齢の婦人がそれに
気がついて、「あのう、ちょっと、失礼で
すが・・・」って声をかけて来たんでしょう?
小林:
まず、妙齢の婦人というより、「大和撫子」
と言って欲しいな。
それから、声をかけるのに、「しゃがむ」必要
があるか?
田中:
そうですね?
変ですね?
あー、その女性、身長が・・・。
小林:
違う、違う。
俺も、見ての通り、お世辞にも背が高いと
は言えないしなあ。
田中:
では、指で、問題個所を「つついた」んでしょう?
小林:
「お兄さん、ここが未処理ですよ。むだ糸は、
ちゃんと処理しましょうよ」ってか?
田中:
そうです。
もう少し丁寧に、「あのう、失礼ですが、ここの
ところ、まだ抜糸できていませんよ」とか言った
のかも知れませんね。
小林:
中らずとも遠からず、ってとこかな?
よし、二人で、再現してみようや。
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