小林:
まず、俺が、ホームの中ほどを颯爽と歩いている。
田中:
私が、目の前を歩いている若いサラリーマンの後ろ
姿を認める。
(あッ、この人、スーツ、卸したてなんだ。
縫い糸がかかったままだ。
気がついていない。
知らぬが仏、ウッシッシー!
いや、かわいそうだ、
教えてあげよう。)
あの、ちょっと、ここが・・・・。
小林:
おい、しゃがめ!
そして、おれの尻にくっつけよ!
田中:
エーッ、それは・・・。
肩をたたいて、それから、指で、スーツの
切れ込みを指させばそれで十分でしょうが?
意味のない、無駄な動きというものですよ。
小林:
だろう?
君もそう思うだろう?
ところがどっこい、さにあらず。
さすがの察しの良さにおいては右に出る者
がいないといつも豪語している君でも、実際
に何が起きたか推測がつかないという訳だ。
田中:
あッ、分かりましたよ。
その大和撫子が、バッグから、やおらハサミ
を取り出して、「プッツン」と縫い糸を切ってくれ
たんでしょう?
女性で、裁縫道具を携帯している人は多いで
すからね。
いや、その方は、縫製関係のお仕事をされて
いたのかも知れませんね。
小林:
頭がうまく回転し始めたようだね。
あともう一歩だよ。
田中:
????
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